サンドイッチに葡萄の実
あれだけ頑なだったチェーンロックなんだけどさ、最近掛け忘れることも多いんだよ。
肌は感じたがってるのかも、季節の風とか匂いなんかを。
粉砕ゴミの日だった。ガスの切れたライターと割れちゃったグラスを捨てに降りた。
まん丸くて大きな月が木の枝の向こうに煌々と座っていてさ、ほんの数秒だけど息を止めたよ。
こんなにも変わらずに、何時までもずっとそのままで。思い出や記憶が褪せないのと同じかもって。
相変わらずなんだよね。足りなくなれば欲しがってばっかりでさ。
欲しがるから足りなくなってさ。何時も一緒だって思えれば何時も一緒に居られるのかって、
馬鹿げた夢を見る。
心の棘が抜け落ちていくような朝。何か起こるんじゃないかってほんのり期待してるのって・・
何だか楽しいね。
膝を抱えて身震いするように明日を待つのと、腰を上げて歯磨きするのと、選ぶのは自由だよ。
打ち付けるような雨がもう直ぐやって来て、抜けるような青空が身体中を突き刺す季節を越えて、
君は飛んで行くんだろうか?
俺も行けるかな?あの坂道を息が出来ない程のスピードで、駆け下りて行けるかな。
今度は一人で